大人の登場にそdha epa dha

 大人の登場にその場に緊張が走った。
「一体誰だ?お前ら全員か?あん?」
dha よりにもよってガラの悪い人の家だった。
 しかし状況マカが変わったのは確かだ。ミモザは助けを求めようと家主の男に話しかけようとしてーー
「こいつだ!!」
「……え?」
 アベルが指さしていた。ミモザのことを。
「こいつが割ったんだ!俺たちは関係ない!!」
亜鉛……っ!!」
 確かにガラスを割ったのはミモザだ。しかしそれはアベル達に追われていたからだという言い訳は、家主の男には関係ない話だろう。
(どうしよう)
 どうしたらいいか頭がまったく回らず汗が全身から噴き出す。ここで窓ガラスを割ったのがミモザだと素直に認めたらどうなるだろうか。男には怒られるがアベマカル達からは逃れられる?しかしまた同じ目にあわないとはとても言えない。可能であればここでアベル達はもう一度咎められてほしい。バレなければいじめて構わないという成功体験を積み重ねさせるのは悪手だ。しかしどうしたらいいかがわからない。
 ミモザにはどうしたらいいかがわからない。
「お前……」
 ミモザはその声に身をすくめた。
 家主の男は険しい顔でミモザのことを見つめ、手をーー、
「待ちなさい」
 鋭い声と共にその手は制止された。
亜鉛の効果「俺はすべてを見ていたぞ」
 そう言って現れたのは
「レオン様……」
 レオンハルトだった。
「言うべきことがあるのではないか?」
 風になびく波打つ藍色の長髪、金色に輝く左目。
 長身の美丈夫が皆を睥睨するように腕組みをして言った。

「兄貴!!」
 アベルは思わぬ加勢に目を輝かせる。ミモザは反対に顔を俯かせた。
 すべてを見ていたぞ、とレオンハルトは言った。
 ミモザが窓ガラスを割っているのを見たからそのように言ったのだろう。まして相手はレオンハルトの弟である。
(終わった……)
 いかにミモザがレオンハルトの弟子とは言えど、せいぜい半年の付き合いである。レオンハルトが弟のことを可愛がりこの村にクロム訪れているのは有名な話だった。
 どちらの肩を持つかなど火を見るよりも明らかだ。
「なぁ、兄貴!わかるだろ!窓ガラスを割ったのはこいつだ!俺は悪くねぇ!」
 喜色満面でアベルは兄に近づきその腕に触ろうとしてーー、その手を振り払われた。
「……え?」
 見上げたレオンハルトの顔は、険しい。
「嘘をつくな」
 誰もが耳を疑うような言葉を、彼は重々しく告げた。
「俺はすべてを見ていたと言ったはずだ。誤ちは自身で認めなさい」
「あ、兄貴?見てたならわかるだろ?俺は本当に……」
「嘘をつくなと言っているだろう!」
 けして怒鳴っているわけではないのに怒鳴りつけられたような迫力をもって彼は告げる。
「お前達4人はその子を追いかけ回して石を投げつけていたな」
「……えっと」
 予想外の展開にミモザはぽかんと間抜けに彼を見上げてしまう。
「その投げたうクロムちの一つがこの窓ガラスに当たったんだ」
「ち、違う!」
「何が違う?」
 ゆっくりとレオンハルトはミモザへと近づくと、ミモザの顔を見て眉をひそめた。そっと割れ物にでも触るように手を伸ばすと傷口へと触れる。
「……っ」
「痛むだろう。すまなかった。駆けつけるのが遅くなった」
 そして今度は立ち上がると窓ガラスを割られた家主へと深々と頭を下げる。
「俺の愚弟が大変な失礼を致しました。こちらの窓ガラスは弁償させていただきます。大変申し訳ありませんでした」
「あ、ああ、まぁ、弁償してくれんなら俺はいいけどよ」
「後日修理にかかった金額を伝えてくだされば払いますので」
 もう一度丁寧に「誠に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げる。
「違う!なんで兄貴が頭を下げんだよ!!」
 それに不満を唱えたのはアベルだ。しかしそんな弟のことをぎろりと睨むと「お前が頭を下げないからだろう」とレオンハルトは言った。
「お前もきちんと謝罪しなさい」
「違う!俺は悪くない!!」
「ではきちんと説明しなさい」
 アベルの喚き声はぴしゃりと跳ね除けられる。
「お前は確かにその子に石をアントシアニンの効果投げつけて追いかけ回していた。俺は確かにそれを見た。それを間違いだというのならきちんと筋を通して説明しろ。できないだろう」
「た、確かに投げたよ、投げた!でもそれはそいつに向かってであって、窓ガラスは割ってない!割ったのはこいつなんだよ!」
 アベルの主張にレオンハルトはため息をつく。
「なぜこの子が窓ガラスを割る必要があるんだ」
「……そ、それは」
「逃げていたその子が窓ガラスを割ったと考えるより、石を投げていたお前らが割ったと考えるほうが自然だ。そうだろう?お前の言葉にはなんの説得力もない」
「でも本当に、本当なんだ。割ったのはこいつなんだ」
「よしんば窓ガラスを割ったのがその子だったとして、この子によってたかって石を投げつけていたのは事実なのだろう?」
 アベルが見上げた先には氷のように冷たい目をした兄がいた。
「軽蔑されるには充分な行いだとは思わないのか?」
「……っ、お、俺は」
「なんだ?正当な理由があるなら言ってみろ。一体どんな理由があったら女の子1人に4人でよってたかって石を投げつける正当性があるのか俺には皆目検討がつかないが」
「………っ!!」
 アベルは悔しそうに唇を噛みしめる。レオンハルトの言葉に反論できないのだろう。
 しかし窓ガラスを割っていないという彼の主張はアントシアニンの効果正しいのだ。このまま黙っていろという自分と、レオンハルトを欺くつもりなのかという自分。両者がせめぎあって、ミモザは「あ、あの」と重い口を開いた。
「あの、あの窓ガラス……」
 しかし皆まで言うことは叶わなかった。即座にレオンハルトの手が伸び、周りに見えないようにミモザの傷を確認するふりをしながら口を塞がれたからだ。目を白黒させるミモザに、彼は全て了解しているというようににやりと笑った。
 その表情に、何も言われていないのに黙っていろと言われたように感じてミモザは口をつぐんだ。
「ああ、本当にすまなかった。痛むだろう。弟に代わって謝罪する」
 ミモザはその言葉に無言でこくこくと頷くのがせいいっぱいだ。レオンハルトはそれに苦笑すると地面に転がったままだったランチボックスを手にして土を払い、ミモザへと差し出した。
「本当にすまなかった。彼らは俺が責任持って親の元へと連れて行き反省させよう。君にも謝罪をさせる」
 そしてミモザの耳元へと口を寄せると周りには聞こえないように「ヘマをしたな」と囁いた。
「窓を割る必要はなかった。君は逃げるだけで良かったんだ。俺以外目撃者がいなくて良かった。次からはもっとうまくやりなさい」
 悪戯に成功した子どものように笑うレオンハルトに、ミモザは「お手数をおかけしました」と自分でもちょっとズレてるなと思う返答しかできなかった。
 レオンハルトの目がおもしろそうに瞬いた。
ゴーヤ亜鉛の効果亜鉛ゴーヤ

 ガチャン、dha epa

 ガチャン、という音を立ててその扉は閉まった。
「あ、あなたが悪いんだからね!」
 ポリ ペプチド捨て台詞と同時にパタパタゴーヤと遠ざかっていく足音がする。どうやら彼女は立ち去ってしまったようだ。
「うーん」
 閉じ込められた……のだろうか?ミモザは首をひねった。
 まず扉を押してみると何かつっかえがしてあるのか開かない。だがメゴーヤ チャンプルーイスで叩けば壊すことは可能だろう。次にミモザは月明かりの差し込む窓へと近づいた。
「開くんだよなぁ、これが」
 カシャ、と軽い音を立てて窓が開く。窓の外は庭園で、別にとんでもなく高くて外に出れないというわけではない。
 さて、閉じ込めるとはなんぞや?と疑問に思う。
「窓から外に出るという発想がお嬢様にはないのかな……」
「チゥー…」
 チロも同意するように頷く。マカ サプリあまりにも詰めの甘すぎる監禁だった。
 もしもミモザを本気で閉じ込めようと思ったら、まずはチロを拘束しなくてはならないし、ついでにミモザのことも手足を縛るくらいはしなくてはならないだろう。そうでなくては普通に破壊して出てきてしまう。
「まぁ、今回は壊さないけど」
 一体弁償代がいくらかかることか。想像すると寒気がしてミモザはぶるりと身を震わせた。
 さて、それでは外に出ようかと窓枠に手をかけたところで、
「……ん?」
 人の気配に思わず隠れる。隠れてから別に隠れる必要がなかったことに気がついたが後の祭りである。
 かくして近づいてきたのはオルタンシア教皇とオーティス宰相であった。
「………薬は、……でポリ ペプチド、」
「しかし……の、効果……」
(薬……?)
 2人はぼそぼそと小声で話しながらゆっくりとミモザの隠れている窓の前を通り過ぎ、遠ざかって行った。前を通り過ぎるといっても距離があったため、その内容はあまり聞き取れない。
(仲が良いんだろうか?)
 考えながらもまさかな、と思い直す。宰相などは貴族の筆頭であろうし、教皇はいわずもがな平民の代表である。派閥的に仲睦まじく、というのは難しい立場だろう。だからこそこうして密会のようにこっそり会っている可能性もなくはないが、それよりは仕事の話をしているというほうがしっくりくる。
 さて気を取り直して、とミモザは窓枠に手と足をかけるとそのまま外へとぴょんっと身軽に飛び降りた。
 ぴ、と体操選手のようにポーズを決める。
「10点!」
「何が10点なのかしら?」
 その言葉に振り返る。そこには、
「フレイヤ様亜鉛 サプリ!」
 が立っていた。彼女は赤いドレスに黒いショールを羽織っていた。銀色の髪は綺麗に結い上げられて真珠の髪飾りで彩られている。月明かりに照らされたその体は、銀色の粒子をまといきらきらとほのかに輝いていた。
 ミモザはその姿にうっ、とうめく。
 彼女の抜群のプロポーションが眩しい。
「どうしたのかしら?」
「ちょっと世の理不尽に目が眩んでしまって……」
「ちょっと意味はわからないけど大丈夫そうなのは伝わったわ」
 体調が悪いのかと心配したじゃない、と彼女は嘆息する。
「あなた、今1人?」
「はい。フレイヤ様もですか?」
「ええ、ちょっと夜風にあたりたくて……」
 そう言いつつ彼女の目は何かを探すように彷徨っている。
(なんだ……?)
 パッと見た印象だが彼女の装飾はどこかが欠けているという様子もなく彷徨う目線の高さ的にも地面を探している様子はない。何かを落としたとかでは無さそうだ。
「ジーン様はご一緒ではないのですか?」
「ああ、ジーンは今日はご家族もゴーヤいらしてるからそっちと一緒にいるのよ」
「なるほど」
 ジーンの素性はよく知らないが、王国騎士団長の弟子になるくらいだ。やんごとない家柄なのだろう。
「じゃあ、わたくしはそろそろ行くわね」
「はぁ……」
 声をかけておきながら随分とつれないことだ、と思いながらその後ろ姿を見送る。
「………ついてってみる?」
「チゥ」
 ついていこう、とチロが頷く。フレイヤはミモザに連れがいないのかを尋ねて、いないことを知ると明らかに興味を失ったようだった。つまり誰かと一緒に来たのではないかと疑ってミモザに声をかけたのだ。
(でも誰だろ?)
 探し人がレオンハルトならば、たぶん普通にミモザにレオンハルトはどこにいるのかと尋ねただろう。しかしそれをしないということはミモザには居場所がわからないであろう相手、その上ワンチャンミモザと一緒にいてもおかしくない相手を探しているということだ。
(鬼が出るか蛇が出るか)
 庭園の生垣で作られた迷路の中へと姿を消したフレイヤを、ゆっくりと追跡する。ミモザが追うのでは気づかれる可能性が高いためチロを斥候に使い絶妙にお互いの姿が見えない距離を保ちながら進む。
(おっと)
 これ出れるかなぁ、と不安クロムになりつつ歩いていると、唐突にフレイヤが立ち止まった。彼女はぼんやりと立ち尽くし、迷路の先を眺めているようだ。
 手で合図をしてチロに様子を見てきてもらう。しばらく待つとチロは走って戻ってきて、そこで見た光景を伝えてくれた。
 迷路の先にはガブリエルがいたのだ。それも、先ほどホールでミモザを睨んでいたもう1人の令嬢、セレーナ嬢と一緒だったようだ。
(なんでその2人が?)
 教皇と宰相に引き続き謎のペアである。首をひねるミモザの目の前で、フレイヤはその2人のことを憎々しげに睨んでいた。

「フラフラついて行くなと言っただろうが」
 ホールに戻るとレオンハルトが仁王立ちでミモザを見下ろしてそう言った。
 その顔は険しい。
「えっと、レオン様、違うんです」
「何が違う」
「筋肉にも胸にもつられてません」
「じゃあ何に釣られた」
「こ、好奇心……?」
 はぁ、と彼は深い深いため息をつく。
「俺はとても簡単な指示を出したと思っていたが、その認識は誤りだったか?」
「ええと、レオン様と結婚したがっている令嬢の方がですね」
「……どっちだ」
「ピンクブロンドのほうです」
「アイリーンか」
 ちっ、と小さくレオンハルトは舌打ちをする。ミモザは頷いた。
「ええ、そちらの方に、ちょっと監禁されてきました」
 ミモザが続けて言ったセリフに、レオンハルトはなんか変な言葉を聞いたというようにその顔をすがめアントシアニンる。
「……出れたのか」
「窓が普通に開いたので」
「…………。万が一ということもある。そういう場合は知り合いに声をかけるなりして軽率について行くのは控えなさい」
 さすがに彼も少し呆れた様子だ。閉じ込めた部屋の鍵がかかっていないなど、監禁というにはあまりにお粗末である。
「はい、申し訳ありませんでした」
 とりあえずレオンハルトの態度が軟化してきたのでミモザは言い訳をやめて素直に謝罪した。
「……帰るぞ」
「よろしいのですか?」
 身を翻すレオンハルトに追従しながらもホールを見渡す。パーティーはまだ終わる気配を見せてはいない。
「ああ、君がいない間に一通りの挨拶は済ませた。問題ない」
「……申し訳ありませんでした」
 ミモザはもう一度丁寧に謝罪をした。
マカゴーヤ チャンプルークロム

 さて、こクロムの効能

 さて、この世界には野良精霊というものが存在する。
 ゲーム上ではアントシアニン雑魚敵として冒険の途中でエンカウントする相マカ手であり、その発生理由については語られないが、こいつらは実は人間が生み出した存在であったりする。
 精霊というのは人と共に生まれる。
 これはこの世界の常識である。
マカ サプリ ではなぜ野良精霊という人と繋がっていない精霊が存在するのかというと、彼らは元々人と共にあったのが様々な理由でその接続が切れてしまった存在である。
 もちろん、人と精霊の繋がりというのはそんなに簡単に途切れるものではない。
 事故なども稀にあるが、そのほとんどは人為的な行為により切断される。
 一番多い理由はより強い精霊と接続するために自身の精霊を捨ててゴーヤ チャンプルー他人の守護精霊を奪うというもので、捨てられた精霊同士が自然交配し繁殖したのが野良精霊達だ。そのためその多くはとても弱く、大した力は持たない。
 しかし稀に突然変異でとても強い個体が生まれることがあり、それはボス精霊と呼ばれるのだが、そのボス精霊を自身の守護精霊とするために元々共に生まれた精霊を捨てる者も現れるという悪循環が起こっていた。
 国も教会も守護精霊を交換することや野に捨てる行為は禁じているが、取り締まりきれていないのが現状である。
 そしても亜鉛の効果う一つ、彼ら野良精霊が雑魚である理由があった。
「ああ、いたいた」
 ミモザは草むらをかき分けながら森の中を歩いていた。視線の先にはうさぎにツノが生えた姿の野良精霊がいる。
 ひたすら生暖かい目で微笑む母親に昼食をふるまった後、仕事に戻る母を見送ってからミモザは森へと来ていた。
 ミモザ達の住むバーベナ村は森に四方を囲まれている利便性の悪いど田舎だ。そのため少し歩けばすぐに森へと辿り着く。
 森には大雑把に目印の杭が打ち込まれており、通常10歳前後の学校を卒業していない子どもはその杭よりも先に入ることを禁じられている。しかし今のミモザはその杭を通り越して森の奥深くへと足を踏み入れていた。
 当然、バレたら叱られる。
 しかし今は大人に叱られること以上に気にしなければいけな亜鉛 サプリ おすすめいことがあった。
「ゲームの開始は学校を卒業する15歳からだ」
 じっと草葉の影から草をはむ野良精霊の姿を見ながらミモザはチロへと話しかける。
「つまりそれまでに僕達はお姉ちゃんより強くなっている必要がある。それも大幅に、だ」
「チィー」
 チロもその方針には賛成のようだ。その同意に満足げにミモザは頷く。
「じゃあどうやって強くなるか。手っ取り早いのはもちろん、実際に戦ってレベルを上げることだ」
 とはいえ、ミモザもチロも野良精霊との戦闘などしたことがない。一応学校では戦闘技術の授業があったが、ミモザの成績は底辺を這っている始末であった。
(つまり、ここは不意打ちに限る)
 卑怯だなどと言うなかれ。これは命のかかったことなのである。
 ミモザはチロへと右手を伸ばした。チロは心得たように頷く。
 それと同時にその姿が歪み、形を変えた。
 それは武器だった。細く長いdha金属の持ち手に先の方に棘が何本も突き出た鉄球が付いている。いわゆるモーニングスターメイスと呼ばれる棍棒である。槌矛と呼ばれることもある叩き潰すことに特化した打撃武器だ。
 これが守護精霊と野良精霊の一番の違い。
 人と繋がっている精霊はその姿を武器へと変じることができるのだ。これは昔は出来なかったのが徐々に人が望む姿に適応するようになり、そのような変化ができるように進化していったのだと言われている。
(やっぱり棘が生えている)
 チロの変化した姿を見てミモザは眉を顰めた。
 ゲームでのチロは序盤はただのメイスである。つまり棘の生えていない鉄球が先端に付いているだけのただの巨大な槌だ。しかしゲームの半ば頃より狂化が始まり今のような棘の無数に生えたモーニングスターメイスへと姿を変えるのだ。
 つまりやはりゲームよりも早く狂化してしまっているのだ。
 一度狂化してしまった者は進行することはあれど正常に戻ることはない、と言われている。
(うーん、まぁいいか)
 本当はそんなに軽く済ませていい問題ではなく亜鉛の効果狂化した個体は取り締まりの対象なのだが、ミモザの場合は早いか遅いかの違いで正直狂化しない選択肢を選べる気がしなかった以上諦めるしかない。
 一応ゲーム上では侮られ過ぎてなのか何故なのか、ミモザの狂化は主人公達以外にはバレてなかったように思う。
 チロも小さい精霊のため普段はなるべくポケットなどに隠しておけばなんとかなるだろう。
 さて、とミモザは野良精霊を見る。先ほどまで横を向いていた野良精霊は、少し移動してちょうどこちらに背中を向けていた。
(君に恨みはないがごめんよ)
 ミモザはチロを両手に持って大きく振りかぶると、
「僕たちの礎となってくれ」
 野良精霊へと向けて一気に振り下ろした。
 血飛沫が舞った。
マカ サプリマカ と は亜鉛の効果

 落ち込みはマカ サプリ

 落ち込みはしたがいつまでも落ち込んでいても仕方亜鉛の効果がない。ミモザは今日も今日とて塔の攻略に勤しんでいた。
 続いてのマカ と はターゲットである第3の塔は合成技術の祝福がもらえる塔である。
 合成とはドロップや採取した材料を組み合わせて薬や道具を作成する技術だ。これにより回復薬や毒アントシアニン薬はもちろん、梯子や網などを作成することができ、梯子を使用しなければいけない場所に行くことが可能になったり、捕まえられなかった野良精霊が網を使うことで捕まえられるようになったりするという素晴らしい技術だ。
 正直この祝福がなくてもストーリーを進めることは可能だが、有利なアイテムを手に入れたり、やりマカ サプリ込み要素を消化するのには重要な技術である。
 さて、この第3の塔はまず塔に辿り着く前に一つ関門がある。
 それは洞窟である。
 ゲームでは特に害のある野良精霊などはおらず、蝙蝠型の野良精霊が背景的にぶら下がっているだけの洞窟なのだが、まぁ当然洞窟なので中は暗い。つまり第2の塔で手に入れた暗視スキルが必須なのである。
「ふー……」
 ミモザは小さく息を吐いた。
「オーケーオーケー。まだ大丈夫。まだ折れてない」
 心の話である。
 暗闇の中、ミモザは自分の手を目の前にかざす。銅の暗視スキルにより、自分の手はわずかに暗闇亜鉛 サプリ おすすめの中浮かび上がって見えた。
 それだけであった。
「使えねぇ…」
 銅の暗視スキルはなんと、自分の体が暗闇の中でも認識できるというだけのものであった。それ以外は何も見えない。真っ暗闇である。
「チー」
 守護精霊も自身の一部と見なされているのだろう。肩の上でチロが諦めたように首を振る姿が見えた。
「うぶっ」
 その時ばさばさと音を立てて何かがミモザの顔面に激突した。手で払いのける前にミモザの顔面を蹴り付けてそれは飛び去っていく。
 蝙蝠だ。
「焼き鳥にしてやる……」
 ミモザは目を据わらせると蝙蝠を捉えてやろうと両手を構えた。
 そのままじわりじわりと前に進む。
「うおっと」
 しかしそのまま小石か何亜鉛 サプリ おすすめかに足を取られて転びかける。なんとか壁に手をついて支えたため転倒はまぬがれたが、壁についた手の下に何かの感触がある。
 それはカサカサカサと音を立てて逃げていった。
「虫か……」
 これでミモザが虫嫌いだったら悲鳴を上げているところである。
「あああっ!くっそー!」
 イライラする。しかし進まないわけには行かない。ここを抜けなければ第3の塔には辿り着けないのだ。
 もしくはこの洞窟の開いている岩山を登るという手もあるにはあるが、なんとなくそれはミモザの矜持が許さない。
 みんなが、特にステラが普通に通っている道を自分だけが通れないだなんて。
 例え第二の塔とは異なりこの洞窟の中が迷路のように枝分かれした複雑な道だとわかってはいても、進まないわけには行かなかった。

 数時間後、ミモザはもはや目をつぶって歩いていた。開けても閉じても変わらないからである。
 チロをメイスへと変え、それを杖代わりdha epaにして前方の地面を突いて確認しながら進む。最初はそろそろ歩きだったが、もはや慣れてほぼほぼ通常の歩行速度と変わらなくなってきていた。
 ふと、空気を切って羽ばたく音がした。
「そこだーっ!」
 叫んでミモザは手を伸ばす。パシッと軽い音と共にミモザの手はそれを捕まえた。
 蝙蝠である。
「ふっふっふっ」
 散々ミモザのことを翻弄してくれた蝙蝠はミモザの手の中でキュイキュイと戸惑った声を上げている。
「はっはっはっはっはーっ!!」
 洞窟の中にミモザの高笑いがこだまする。長い時間暗闇の中を彷徨い歩いたミモザには、見えずとも物音などの気配で生物の位置を捉える能力が備わり始めていた。
 じゃり、と背後で音が鳴る。ミモザは笑うのをやめてその方角へ向けてメイスを構える。
「………えーと、ミモザさん。何をなさっているんですか?」
 右手にメイスを、左手に蝙蝠をたずさえて目を閉じたまま仁王立ちをするミモザに、その姿が祝福によって見えているジーンはそう尋ねた。
 ミモザには見えていなかったがその表情はドン引きしている。
「見ての通り、第3の塔マカ サプリを目指して進行中です」
「僕の目には蝙蝠狩りをしているようにしか見えませんが」
「そういう側面もありますね」
 堂々とミモザは頷く。
「側面というか、真っ正面から見てそうとしか見えないんですが……、まぁいいや」
 ジーンはミモザの奇行を正すのを諦めたようだ。そして改めてミモザの姿をまじまじと見て尋ねた。
「もしかしてなんですけど、第2の塔の攻略に失敗しました?」
「失敗はしていません。ちょっと自分の体以外の全てが見えないだけです」
「なるほど、銅の祝福はそんな感じなんですね。それで、一体どれだけここに居たんです?」
「いま何時ですか?」
「僕が洞窟に入ったのは午後2時ですね」
「朝の6時にきました」
「…………」
「8時間ですね」
 にこっとミモザは笑った。ジーンは笑わなかった。

「……結局なんやかんやさらに時間がかかりましたね、もう夕方ですよ」
 ジーンの言う通り、洞窟を抜けると空はまだかろうじて青いが西の方はもう茜色に染まりかけている。
「でも見てください、ジーン様。洞窟にこもっていたおかげで僕の気配を察知する能力が開花しました」
 そう言ってミモザは右手に5匹、左手に6匹の蝙蝠を握った状態で見せる。
 彼らはうぞうぞと動いて解放を訴えて鳴いていた。
「うわクロムの効能っぐっろ!ちょっとやめてくださいよ!そんな汚いものぽいしてください。ぽいっ!!」
 邪険に扱われてミモザは少々むっとしたものの、確かに持っていても仕方がないといえば仕方がないので両手を開いた。とたんに蝙蝠たちは一斉に洞窟に向かって飛び去っていく。
「ばいばーい」
「ばいばいじゃないですよ」
 ジーンは呆れている。ミモザは肩をすくめると「じゃ、行きましょうか」とジーンのことを促した。
 目の前には背の高い塔の姿が見えていた。
dhaゴーヤ チャンプルーアントシアニンの効果

 最初に奪われゴーヤ

 最初に奪われたのは髪だった。ゴーヤ
 双子ゆえに全くの瓜二つだったミモザとステラを見分けるために髪型をマカ変えてはどうかと最初に言い出したのは一体誰だったか。当時幼かったミモザにはさっぱり思い出せないが、大声で泣き喚いて「絶対に髪を切りたくない」と騒ぐ姉を前に、母が困ったように笑い「ミモザ亜鉛 サプリ おすすめはどう?」と聞かれてただ頷くことしかできなかったことは今でも鮮やかに思い出せる。
 次は色だ。
 可愛いオレンジ色のワンピース。お気に入りだったのにいつの頃からかそれはステラのものということになっていた。双子ゆえに服はいつもシェアだった。髪を切る前まではミモザもピンクや黄色、赤といった明るい色をよく着ていたのにいつの頃からかミモザがその色の服を着ているとそれは奇妙亜鉛 サプリなことだと思われるようになった。「お姉ちゃんの真似をしているの?」と聞かれることやステラにはっきりと「それはわたしのだよ、ミモザはこっち」と黒い服を渡されたこともある。
 その派生で可愛らしい装飾のついたものも奪われた。
 フリルやレースのついたものは当たり前のようにステラにあてがわれた。ミモザに与えられるのはシンプルなものやズボンばかり。いつのまにかミモザはボーイッシュな女の子に仕立て上げられていた。
 その頃にはミモザはもう何も言えなくなってしまっていた。もともと姉よりも大人しく引っ込み思案な子どもだった。けれど自分も可愛い格好がし亜鉛たいと勇気を振り絞って訴えても実際に着てみても、微妙な顔で笑われたり「お姉ちゃんの真似」と言われたりするたびに、もはや何もしたくなくなってしまっていた。
 姉に言ってもそれこそ暖簾に腕押しだ。虚しいばかりで得るものは何もない。
 どんどん口が重たくなるミモザに友人達は離れていってしまった。そうしてステラはミモザに言うのだ。
「大丈夫よ、ミモザ。ミモザももっと頑張れば、絶対お姉ちゃんみたいになれるから」
 一体誰がステラみたいになりたいだなんて一度でも言ったというのか。
 周囲も言う。
「いつかミモザもステラみたいに明るく話せるようになれればいいね」
 ミモザはステラになど憧れてはいない。
 きっとその周囲の言葉にミモザも笑って「そうだね、いつかステラみたいになりたいな」と返せれ亜鉛の効果ばよかった。そうすれば周りは納得したのだろう。
 けれどミモザは頷けなかったのだ。

 ミモザは愕然とした。
 それはなけなしの勇気を振り絞って「僕、いじめられてるんだ」と告白したミモザに彼女の美しい双子の姉が「あら、そんな強い言葉を使うものじゃないわ、ミモザ。きっと気のせいよ。大丈夫、お姉ちゃんがちゃんと仲直りさせてあげるからね」などとなんとも天然を通り越した唐変木な返事を返したからーーではない。
(頭がちかちかする)
 豊かなハニーブロンドの髪に青い瞳をした、まるでビスクドールのように美しい少女が目の前にいる。
「ミモザ?」
 学校へと向かう通学路。ミモザが立ち止まったことに姉が怪訝そうに振り返る。
 その姿は一枚の絵画のように美しく、薔薇色に上気した頬は少女らしいあどけなさを宿して愛らしい。
 姉、いやちがう、彼女はステラ。いや、そうだ、ステラは確かにミモザの姉だ。なんでもミモザよりも上手にできる姉。人気亜鉛 サプリ おすすめ者の姉。わがままで気まぐれで、しかしそれすらも魅力的な少女。
(そしてこの世界の主人公)
 心配そうにこちらを覗き込む瞳の中に、目の前の少女と髪型以外は瓜二つのショートカットの少女が映る。
「…それってなんて地獄?」
「え?」
 鏡写しのようにそっくりな2人の少女は立ち止まって見つめ合った。
 1人は怪訝そうに、けれど微笑んで。
 もう1人は絶望に真っ青に顔を染めて。
 それはミモザが自分がこの世界の主人公である姉『ステラ』の引き立て役である『出来の悪い双子の妹』であることを思い出してしまった瞬間であった。

 この世界は女性向けの恋愛要素ありのrpgゲームである。
 いきなり降って湧いた記憶の中でミモザは1人の女だった。年齢も立場もわからない。わかるのは性別とおそらく成人しているであろうという朧げな記憶だけだ。
 それとゲームが大好きでいろいろなゲームに手を出していたということだけ。
 ゲームのタイトルも思い出せない。ストーリーも展開も朧げだが、はっきりとわかることもある。
 このゲームのクロム世界の人間は皆、守護精霊と共に生まれる。自身の分身である守護精霊はなんらかの動物に近い姿を取り、そして自身の生まれ持った性質や精神面の成長によってその姿や能力が変化する仕様である。
 しかしたいていのものは物心がつく年齢にはその姿が定まり、能力も15歳ごろには完全に固定化されていく。
 そして主人公の生まれ故郷であるアゼリア王国では精霊騎士と呼ばれる花形職業があり、主人公はその精霊騎士を目指して奮闘していくのである。
 本来なら精霊騎士になるためには7つの塔の試練を受け、王都で開かれる大会に出場しそこで精霊騎士としてのランクとともに資格を授けられるのだが、もちろん、このゲームの世界でなんの面白みもなく試験が進むわけもなく、悪役の妨害や事件が起こる。
 大きな事件としては野良精霊の暴走が起き、主人公であるステラは恋愛対象であるキャラ達とともにそれを鎮め、神聖であり最強を意味する『聖騎士』の称号を賜ることになる。
 ちなみに主人公の前任の聖騎士も存在するが、物語の終盤あたりで主人公達を庇って死んでしまう。記憶によるとゲームの2周目ではその聖騎士ルートも解放されるという話があるらしいがミモザには全く思い出せなかった。

 がらりと音を立てて教室のドアを開ける。
亜鉛 の サプリ クラスのみんなは一瞬ちらりと視線をよこしたが、それがミモザであるのを確認するとすぐに視線を戻しそれぞれの会話へと戻った。
 シカトである。
 ミモザははぁ、と半眼でため息をつくとのろのろと教室の自分の席へと着く。

 ーーそして『ミモザ』は小さな妨害であり、主人公に付きまといその試練をことごとく邪魔して回るという嫌がらせキャラであり、主人公の優秀さを際立たせるためにことごとく試練に失敗するという当て馬キャラでもあった。

 机の引き出しを開くと真っ赤なペンか何かで悪口が書かれた紙切れと刃物、ガラスの破片がバラバラと出てきた。
 ちらり、とショートカットの割には長めの前髪に隠して視線を周囲に走らせる。
(……あいつだな)
 気づいていないふりをしながらもミモザの引き出しから落ちたゴミを見てにやにやと笑う奴がいた。
 このクラスのガキ大将でありイジメの主犯、アベルである。
 短い藍色の髪に切長の目をしたなかなかに整った容貌をした少年は、なんとステラの恋愛候補キャラのうちの1人でありゲームのスタート時の15歳にはちょっと生意気だが共に精霊騎士を目指す幼馴染として善良ぶって登場したりする。
 ゲームの中のミモザは闇堕ちをしていてステラや幼馴染達に執拗に嫌がらせを繰り返していた。
 ミモザはぎゅっと握り拳を作る。
 そうして天を降り仰いだ。
(いや、そりゃそうだろ!)
 拳を机に叩きつけたい衝動をぐっと堪える。
 ゲームをしていただけの前世のミモザにはその理由がわクロムの効能からなかったが、『ミモザ』として約12年間生きてきた今の彼女にはその理由がものすごくよくわかる。
 悪質ないじめ、優秀な姉と比較されて貶される日々、おまけに善良だが無神経な姉になけなしの勇気をもって助けを求めて返ってきた言葉が「きっと気のせいよ」である。「仲直りさせてあげる」である!
 いやこれは気のせいじゃねぇよ、と目の前に積み上げられた罵声の書かれたゴミと危険物を前にほとほと呆れる。
 仲違いしてんじゃねぇんだよ、一方的に暴行を受けてんだよ、こっちは。
 欲しいのは仲直りではなく謝罪と今後一切の不可侵条約である。
 ぐぎぎぎぎ、とミモザは主人公そっくりの愛らしい顔を歪めて歯軋りをした。
 俯いているため長い前髪に隠されて見えないがその形相はさながら悪鬼そのものである。
 その勢いで人も呪い殺せそうだ。
 しかしその勢いでアベルに怒鳴りつけるなどという行為は彼女には到底できないのであった。
 前世ともいうべき記憶を思い出したものの、どうやらミモザの人格はミモザのままだ。多少自身を客観視できているような気もするが、それでも与えられた恨みつらみはそのままであり性格はまごうことなき小心者のままである。
 何もやり返すことのできない自分に歯噛みしつつ、ふと机の上に目を向けるとそこには白い鼠の姿をしたミモザの守護精霊、チロがその気持ちに同意するようにうんうんと頷いていた。
「チロ……っ」
(心の友よっ!)
 ミモザは歓喜した。そうだ、自分にはチロがいるのだ。決して1人ではない。
 例え相手が自分の分身というか半身であろうが1人ではないのだ。
 1人ではないと思い込めば1人ではないのだ。
「チィー!」
 チロが鳴く。
 アントシアニンの効果その目は紅く不気味に輝き『この教室にいる奴ら全員ぶっ殺してやろうぜ!』と言っていた。
「いやダメだろ!」
 思わず真っ青になって立ち上がる。途端にクラス中の人の視線がミモザに突き刺さった。
「……ひっ」
 気分はさながら蛇に睨まれた蛙である。顔どころが全身から血の気を引かせて周囲にある机や椅子にぶつかりひっかかりながらも、なんとかほうほうのていでミモザは教室から逃げ出した。
 もはや授業などどうでも良かった。

 悲報、自らの半身がすでに闇堕ちしてるっぽい。
 この世界では闇堕ちした場合にはある外見的特徴が現れる。
 一つは体から滲み出る魔力のオーラ。通常白く輝くはずのこれに黒い塵のようなものが混ざる。
 そしてもう一つが紅く輝く瞳である。
 この世界には紅い瞳の生物は存在しない。
 そう、闇堕ちーー狂化と呼ばれる現象を起こした生物以外には。
 さて、では改めてミモザの守護精霊であるチロを確認してみよう。
 白く輝く毛並みに大きな耳。きゅるりとした本来なら可愛らしいはずの瞳は紅く輝き爛々と光っていた。小柄な体からはどす黒い塵のようなオーラが煌々と放たれている。
「チチィー」
 鳴く声はどすがきいていていつもよりすごみがあった。
『なぜあいつらに報復しないのか?』その瞳はそう不思議そうに問いかけてきていた。
「………」
 ミモザが閉口していると、ふいにめきょめきょと音を立てて『彼女』の背中が盛り上がり、それまでただの毛であった部分が鋭い棘となった。
 その姿はただの鼠から立派な針鼠へと変化している。
 闇堕ちしている、確実に。
(いや、いつから?)
 少なくとも朝家を出た時はいつも通りだったはずだ。
(ということはー…)
 先ほどの前世のものと思しき記憶。それを思い出したことによりチロの闇堕ちが本来より早まったのではないか。
(最悪だ)
 普通こういう記憶を取り戻した場合は良い変化が起こるものなのではないのだろサプリメント マカうか。ミモザの主観としてはゲームの設定よりも状況が悪化しているように思えてならない。
 ミモザは両手にチロを乗せると恐る恐る問いかけた。
「チ、チロさん、ちょっと確認なんだけど」
「チチ」
「報復って具体的には」
「チ、」
 チロはニヒルに微笑むとピッとサムズアップをしーー
「チチィ!」
 それを勢いよく下に向けた。
「ダメだぁ!」
 チロの殺意がとどまるところを知らない。
「そんなことしたら僕たち破滅しちゃうだろ!」
 ミモザは半泣きで訴える。
 そう、破滅。
 『ミモザ』は物語の中盤であっさりと死ぬ役どころなのだった。
 死因はまったく思い出せないが、きっと主人公に嫌がらせをした関係のあれやこれやに決まっている。
「いいか、チロ。僕たちにはアドバンテージがある」
 言い聞かせるミモザにチロは同意するようにうんうんと頷く。
「まだあの『記憶』の信憑性はわからないけど、すさまじく現状とリンクしていることは確かだ。きっとこのまま何も考えずに進んでいれば、あの未来は起きかねないし僕は闇に呑まれて嫌がらせを繰り返すことになる可能性が高い」
 というか確実にする。
 現にチロは闇に呑まれかけているし、動機だけならことかかない。実際度胸があれば今だってやり返してやりたくてたまらない。
(けどできない!)
 度胸がないからである。
 大事なことだからもう一度。
 度胸がない小心者だからである!
「つまり、今の僕たちがまずすべきこと、それはー」
 ミモザは懐から一冊の本を取り出した。
 そこに書かれたタイトルはずばり『初心者にもできる!呪術入門!』。
「彼らに不幸が訪れるように呪うことだ!」
 その本をまるで救世主かのようにかかげてみせるミモザをチロは白けた目で見た。
 そして針で刺した。
「いった!いたたたたた!痛い!やめて!」
「チゥー」
 野太い声で恫喝するようにチロは告げる。
 ふざけるな、と。
「いや別にふざけてないし僕は本気で、あ、ごめんなさい、痛い!ほんと痛いから!」
 針で刺すだけでは飽き足らず噛みつき始めたチロにミモザは慌てポリ ペプチドて取り出した本を懐へと戻した。
「……さて、とりあえずどうしようかな!」
 仕切り直しだ。チロが怒るので改めて考え始める。正直先ほどの案がミモザのできる最善策だと思うのだが、それを言うとチロがまた怒ってしまうのが明白なので黙って考えを改める。
「どう、したいかな」
 思案するように呟く。
 これからの行動を考える上で、それがおそらく一番重要だ。
 このままゲームの通りにいけば破滅。けれどじゃあ報復もせずにただ指を咥えて黙って見ているのか。
(いじめっ子と妬ましい姉がなんの苦労もなく英雄になっていく様を?)
「僕はこのままは嫌だ」
 チロを見る。彼女も同意するように頷いていた。
 それは嫌だった。
(我ながら、性格が悪い)
 嫌いな人達がより幸せになっていく様を見たくないだなんて。
 その時、ふとゲームの中の一場面を思い出した。それはゲームの中で唯一ミモザが褒められるシーンだ。
『君は精霊との親和性が非常に高いのだね。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。大事にするといい』
 姉のステラが聖騎士になる前の前任者、つまり現在の聖騎士である人がミモザのことをそう褒めるのだ。
 のちにこの『精霊との親和性』というのは精霊とのつながりが深いという意味であり、勿論高ければ高いほど精霊騎士としての強さにつながるが、その一方で精霊が狂化してしまった際にその影響を非常に受けやすく、暴走しやすいというブラフだったことが明かされるのだがそれはそれとして。
 ミモザがゲーム内で唯一評価されたのは『精霊騎士としての才能』であったのだ。
 チロとの親和性。それだけは現状の最高峰である聖騎士に認められるほど高いのである。
 その他はコミュニケーション能力も頭脳も他の諸々の何もかもが姉には敵わない。
 チロとの信頼関係、それだけがミモザの財産でよすがだ。
「……奪ってやろうか」
 それが例え一つだけでも。
 友人も恋人も英雄の称号も他の何も奪えなくても。
 精霊騎士としての強さ、それだけは。
「お姉ちゃんより強くなって、面子潰してやろうか」
 一度だけでもいい。いやどうせなら、
「聖騎士の立場、もらおうか」
 ミモザのその思い詰めたような仄暗い囁きに、チロは目を紅色にギラギラと光らせ一声鳴いた。
 マカそれは紛れもない同意の声だった。
亜鉛 の サプリゴーヤ チャンプルーマカ サプリポリ ペプチド亜鉛 の サプリ

 周囲は喧ゴーヤ

 周囲は喧騒に包まれていた。まだ日が高い時刻のため人の往来も激し亜鉛い。故郷の村では決して見ることのできない賑やかで華やかな街の様子をステクロムラは店主が店の奥から出てくるまでの時間を潰すために眺めていた。ふと自身の手が目に入る。右手の甲に浮かぶ花のような紋様のその花弁のうちの一枚が金色に輝くのを見てステラはふふふ、と満足そうに笑う。
「お嬢ちゃん、計算が終わdhaったよ」
 年配の店主がゆっくりと店の奥から出てくるとカウンターへ腰掛けた。彼は老眼鏡の位置を直しながら伝票と現金を弄る。
「全部でこのくらいの価格で買い取れるけどもね」
「わぁ!ありがとうございます!」
 なかなかの価格にステラは目を輝かせる。ステラの精霊騎士を目指す旅は順調に進んでいた。第1の塔では金の鍵を簡単に見つけられたし、野良精アントシアニンの効果霊を倒すのも手間はかかるがそんなに難しくはない。初めは路銀稼ぎに苦労すると噂では聞いていたが、これだけ稼げるなら余裕で王都で過ごすことができる。
(ミモザは銅だったわね)
 卒業試合では遅れをとってしまったが、しかしミモザはミモザだ。やはりステラよりも劣っている。
(どうしてレオンハルト様はミモザを側におかれるのかしら)
 ステラの方が何においても優っているというのに。もしかしたら優しいレオンハルトはだからこそ妹に肩入れしているのかも知れなかった。いじめを受けて祝福も1番下のものしか受けることができない。アントシアニンの効果確かに同情するには十分かも知れない。
 上機嫌でお金を受け取ろうとして、店主はしかしそれを手で覆って渡すことを拒んだ。
「………? 店主さん?」
「これは一日で取ったのかい?」
 店主はじっとステラを探るように目を見つめてきた。それに首を傾げてステラは頷く。
「ええ、そう……」
「ステラっ!!」
 そこで息を切らしてアベルが駆けつけた。物資の買い出しの途中でステラだけ抜けてきたので心配していたのだろう。彼は必死の形相だ。ステラと店主の手元を見て、アベルは顔を真っ青に染めた。
「これは子どもの時から集めてた奴も混ざってるんだ!ガキの頃は換金なんてできなかったから!」
 そうして意味のわからないことを言う。ステラは首を傾げてアベルの言葉を訂正しようと口を開きーー、その口をアベルの手で塞がれた。
アントシアニン「………。まぁ、いいがね、厳密に一日に何匹狩ったかなんてのを取り締まるのはどだい無理な話なんだ」
 そう言ってため息をつくと店主は金をアベルへと渡した。
「けどねぇ、お嬢ちゃんら、やりすぎはいかんよ。多少は見逃されるけどね、あんまりにも度が過ぎりゃあ絶対に取り締まられる」
 ちろり、と店主の灰色の目が鋭くステラの目を射抜いた。
「密猟ってやつはね、加減を知らんといけんよ」
「………肝に銘じておきます」
 ステラの開きかけた口をまた手で押さえて、アベルは神妙な顔でそう言った。
「行くぞ」
 そのままステラの手を強引に取って歩き始める。その歩く速度の速さにステラは戸惑う。
「アベル、ねぇ、アベル!」
「1人で動くなって言っただろうがっ」
 怒鳴って、アベルはステラの手を離した。そのまま2人は橋の上で立ち止まる。無言の中で川のせせらぎだけが鳴っている。
 振り返らないアベルの背中は震えていた。
「アベル……?」
「わりぃ……、怒鳴るつもりはなかったんだ」
 アベルはゆっくりと振り亜鉛 サプリ おすすめ返った。金色の瞳が、真っ直ぐにステラを見つめる。
「なぁ、ああいうことはやめよう」
「ああいうことって?」
「密猟だよ。一日に20匹以上狩るのはやめよう」
 ステラは首を傾げる。アベルが何故辛そうなのか、その理由がわからなかった。
「どうして?」
「法律違反だからだ。ミモザも言ってただろ。今回は見逃してくれたが、頻繁に繰り返すとまずい」
 ステラは表情を曇らせた。
「……アベルはミモザの味方なの?」
「お前の味方だよ!だから言ってるんだ!!」
 眉を顰める。ステラの味方なのにステラの行動を止める理由がわからない。
「でも、20匹以上狩ってもわたしは大丈夫なのよ。怪我もしないわ。そんな制限なんてなんの意味があるというの?」
「理由なんかどうだっていい!問題なのはそれが犯罪だってことだ!」
「アベル……」
「なぁ、ステラ、わかってくれ。俺はお前が大事なんだ。傷ついてほしくない」
「……わかったわ」
 本当はわからない。けれどアベルがあまりにも辛そうで、ステラはそう言っていた。
「ステラ……っ」
 アベルが安心したように破顔してステラを抱きしめる。
「ごめんね、アベル。アベルの嫌がることをして」
「いいよ! いいさ、わかポリ ペプチドってくれれば!」
 ぎゅうぎゅうとアベルに抱きしめられながら、ステラは思う。
(アベルが気づかないようにしないと……)
 知られるたびにこうもうるさく言われては面倒だった。

 かたん、と軽い音を立てて扉を開ける。
「ああ、ミモザ。帰っていたのか」
「レオン様っ!?」
 部屋から出た途端にかけられた声にミモザは飛び上がった。
 彼もちょうど帰ってきた所だったのだろう。自室の扉を開けて入ろうとした時にミモザが隣の部屋から出てきて鉢合わせたらしい。
「なにをそんなに驚くことがある」
 彼はそんなミモザの反応に憮然とした。
「いや、急に声をかけられたもので……」
 ついでに言えば考えごとをしていたせいでもある。
 ステラのことだ。
 姉のあの行為をレオンハルトに相談するかどうかを悩んでいたら、急に声をかけられて飛び上がってしまったのである。
(どうしようかな……)
 軍警に届け出るというのは選択肢には最初からない。なにせ本人の自白以外に証拠のないことであるし、積極的にステラを追い込む気にはなれないのだ。
(覚悟が甘いな、僕も。……奪うと決めたのに良い人ぶりたいのか?)
 しかしミモザはステラから聖騎士の座をぶんどる覚悟はしていても、ステラから社会的な立場を奪う覚悟はしていなかったのだ。元々はせいぜいが悔しがって地団駄を踏んで欲しかっただけである。笑えるほどに甘亜鉛っちょろい報復を目論んでいたのだ。
 しかし見捨てると決めたからには、ミモザも覚悟を決めなくてはならないのだろう。
 例えステラがどうなっても、見捨て続ける覚悟を。
「ミモザ?どうした?」
 黙り込むミモザに不審そうにレオンハルトが問いかけた。それに一瞬逡巡し、
「なんでもありません。第1の塔の攻略をしてきました」
 結局ミモザは黙ることを選択した。
 しかしこれはステラに温情をかけたのではない。むしろ逆だ。
(落ちるなら、とことん勝手に落ちていってくれ)
 今ここでステラの罪状を食い止めてあげる義理はミモザにはないのだ。
 ステラの行為に目をつむる。
 それがミモザなりの、『ステラを貶めたい』という自分が抱く悪意に対する礼儀であり、言い訳の許されない悪人になるという覚悟だった。
マカアントシアニンの効果アントシアニンサプリメント マカ

(全然心配ゴーヤ チャンプルー

(全然心配する必要がなアントシアニンアントシアニンった)
 ゲームの中ボスを倒してしまった。ゲームの展開が変わったらどうしよう。なんかおかわりがいっぱい来た。今ここである。
「……っ、逃げよう!!」
 チロもさすがにこれには同意なのか素早くミモザの肩へと駆け登った。
クロムの効能 そのままとにかく走る。幸いなことに走る速度はミモザの方が速いようだ。
 しかし重要な問題があった。
(逃げるってどこに?)
 普通の野良精霊ならば村でいい。大人達が大人数でかかればよくいるうさぎ型や犬型の野良精霊は簡単に始末できるだろう。しかし相手は狂化個体である。しかもおそらく本来ならこんな人里には来ないような森の奥深くに生息しているはずの熊型だ。
(これ、村に亜鉛の効果行ったらまずいんじゃないか)
 今更ながらに気づく。このままでは村が危ない。
 別にミモザのことをいじめた連中やその他の仲良くもない奴らが死んだところでミモザは困らない。その程度に薄情な人間な自覚はある。けれど村には、
(ママがいる)
 母親が危険にさらされるかも知れない。ミモザにとってそれだけは避けたい事態だった。あとついでに姉もだ。復讐の前に死なれては寝覚めが悪い。
(いやもしかしたらお姉ちゃんならなんとかなるのかも知れない)
 それこそ主人公補正やらなにやらでだ。
(しかしそれはそれで腹が立つ)
 ミモザは立ち止まった。そサプリメント マカして振り返ってチロに手を伸ばす。
「チー」
 チロは心配そうにしながらも、その身をメイスへと変えてくれた。
「ごめんね、チロ」
 謝ってメイスを構える。
 目の前にはもう熊の群れが押し寄せて来ていた。
「けど、譲れないこともある」
 意識を集中させる。あの熊は硬い。骨や皮のある部分は狙うべきではない。狙うなら口か目だ。
(こんなに大勢かー)
 ミモザはこれまでメイスの棘を同時に1本しか伸ばすことに成功していない。しかしゲームの中のミモザはそれこそ変幻自在に複数の棘を同時に伸縮して槍のように扱っていた。
(できるはずだ)
 ゲームのミモザができていたのだから。
 姉に無様に負ける出来損ないにもできていたのだから。
「できなきゃダメだ!!」
 メイスの柄の部分を地面に突き立てる。そして棘の部分はーー、
 アントシアニンの効果全てあらぬ方向へと伸びた。
 うちの何本かは幸運なことに熊の方へと向かいその目を差し貫く。しかしせいぜいが2.3匹程度で仕留められたのは正面にいた1匹だけだ。
(もう一度っ!)
 棘を引っ込めて後退りし距離を取る。近づき過ぎれば仕留められるのはミモザの方だ。
 複数の棘を同時に伸ばすことには成功した。次はコントロールだ。
「いけ!」
 もう一度伸ばす。今度は前方の棘だけを伸ばすことに成功したが、まったく熊の目には刺さらず分厚い毛皮と骨に遮られる。
(おかしいな)
 そこでやっとミモザは気づく。攻撃が通らなさすぎる。
 ゲームの中のミモザは雑魚だが、しかし野良精霊に攻撃が通らないほどではなかった。ピンポイントで粘膜が露出した場所を狙わなければ倒せないというのは違和感がある。
(この熊が中ボスだからか?)
 しかし序盤の中ボスである。こういうのがボスですよ、というチュートリアルに出てくる程度のものだ。
(ーーということは)
 考えられる可能性は一つだ。
 ポリ ペプチド今のミモザが弱すぎるのだ。おそらくだが、ゲーム開始時よりもチロのレベルが低い。
 実はこのゲーム、レベルが見れるようになるのは一番最初の試練の塔を攻略し終えてからである。
 そして試練の塔に入っていいのは13歳から。この世界の成人年齢をすぎてからなのである。
 つまりぎりぎり12歳のミモザにはレベルが見えない。
(これ、もしかして詰んでる……?)
 ミモザの額を冷たい汗が伝った。

 事態は膠着していた。
 大振りな攻撃をしてくる熊達と、一定の距離を保ちつつ立ち回るミモザの攻撃は互いに一向に当たらない。
(気が遠くなってきた)
 これがゲームならミモザはもう投げ出している。しかし今のミモザにとってこれは現実だ。投げ出せば待っているのは死である。
 そして単純にこの膠着状態がこれ以上続けば不利なのは仲間のいないミモザの方だった。
(まさかこんなところでぼっちを思い知らされるはめになるとは……)
 昨日までのミモザは想像もしなかっただろう。熊相手に友達多いマウントを取られているこの現状のことなど。
「……あっ」
 そんなミモザにミスが出たのは必然だった。迫りくる熊と距離を取るために背後に踏み出した足を木の根に取られマカ と はてしまったのだ。
「………っ」
 慌てて手をつきバランスを取るが、地面に膝をついてしまう。
 ずっとミモザを食ってやろうと狙っていた熊達がその隙を逃すはずもない。
(あ、これ死んだ)
 そう悟った瞬間、目の前に迫り来る熊達の顔面が急に目の前から消えた。
亜鉛 の サプリdha epaマカ

 さて、昨日に引ゴーヤ

 さて、昨日に引き続きミモザは塔の攻略に来ていた。第3の塔くらいまでは塔の中に野良ゴーヤ亜鉛の効果霊も出現せずレベルが低くても比較的さくさく攻略できるため、皆あまり間を開けずに攻略するのが主流である。ミモザもそれに倣うことにした。
 次のターゲットである第2の塔は暗視ができるようになる祝福の塔である。この塔でやることは第1の塔とあまり変わらずポリ ペプチド、鍵を探すのは一緒である。しかし暗闇の中で、である。自分の指先も見えないような暗闇を進み、その最中で鍵を見つけるという試練だ。当然この鍵にも金銀銅のランクが存在するが、今回は視認して選ぶことなどできないため、暗闇の中でどれだけたくさんの鍵を見つけられるかが勝負となる。
 かくして、ミモザは今、
(気まずすぎる……)
 何故かステラとアベルアントシアニンと共に塔の入り口で入場確認を受けていた。
 理由は簡単だ。塔の前で偶然鉢合わせてしまったのである。

 先に来て入場の列に並んでいたのはミモザであった。そこに後から2人が来て、知らないふりをしてくれるかと思ったら「あら、ミモザ」とステラが声をかけてきたのだ。
(帰りてぇ……)
「ねぇミモザ、聞いてる?」
 それから延々とステラに話しかけられ続けているミモザである。その態度に段々と昨日あったと思っていた出来事はもしかしたら夢だったのだろうかと疑い始めていた。
 まぁさっきからチロがイライラとミマカモザの肩で地団駄を踏んでいるのでおそらく現実にあったのだろうが。
「お姉ちゃんって気まずいって感情知ってる?」
「……? もちろん、知ってるわよ?」
 なら話しかけてくんなよ、とは言えない小心者のミモザである。
 ちろり、とその隣でやはり気まずそうに貧乏ゆすりをしているアベルを見る。彼と目が合った。
「………やめさせたから」
「は?」
 アベルはちっ、と舌打ちを一つすると、周囲をはばかるように小声で告げた。
「昨日の。野良精霊狩りだよ」
「……ああ」
 そうですか、とミモザは頷く。もはやミモザには関係のない話だ。
(でもそっか、辞めさせられたのか)
 それは素直に賞賛に値する。ミモザが諦めてしまったことを、アベルはやり遂げたのか。
 だからと言ってアベルのことを許すつもりは毛頭ないが、憂いが一つなくなったことは確かであるゴーヤ
「ついでにここから連れ出すか僕に話しかけないようにしてくれない?」
「それはまぁ、俺には荷が重い」
 ミモザはちっと舌打ちをした。
 いまいち使えない男である。

 無事に入場許可をもらい塔の中に入る。とたんにミモザの体は一寸先も見通せないような暗闇へと呑み込まれた。
 試しに手を伸ばして目の前にかざして見るが、その輪郭はおろか、動かしてみても存在すら感じられない。
 手をそろりそろりと横へと伸ばす。何かごつごつとした岩肌のようなものにその手は触れた。どうやら壁らしい。
 背後で扉の開く音がし、一瞬光が差し込んだ。だがその眩しさに目が眩んでいる間に再び闇に包まれる。
 後ろに並んでいた人物、おそらくステラかアベルが入ってきたのだろう。ミモザは2人に追いつかれないように慌てて壁伝いに前へと歩き出した。
 誰かの足音がまばらに聞こえる。息づかいやひそめられた悲鳴も。誰かが近くで転んだ音がした。人の存在を感じるのに何も見えないというのはとクロムの効能ても不気味な状態だ。
 その時ミモザの左側を誰かが通り過ぎた。足音の遠ざかっていく方向とその素早い歩行からして試練を終えて帰っていく人かも知れない。祝福により暗視の能力を手に入れたのだろう。
(鍵を探さなきゃ)
 暗闇の中進むことに夢中になって、すっかり忘れるところだった。
 しかし探すといってもこれでは進むだけで精一杯だ。ふと思いついて足をずりずりとするように動かす。その時こつん、と何かが当たった。屈んでそれに触る。
(ただの石ころか)
 そのまましばらく手で地面を弄っていると思いっきり誰かに手を踏まれた。
「いった!」
「おっと、すまねぇ」
 見知らぬ誰かはそれだけ言うとまた歩き始めたようだ。徐々にその足音は遠ざかっていく。
 屈んでいるのは危険だと判断してミモザは地面を探すことを諦めて立ち上がる。先ほどまでたどっていた壁に再び手をつくと、その壁を手当たり次第に撫で回した。
(……お?)
 しばらくするとくぼみのようなものに触れた。その中に手を突っ込む。何か硬くて小さな物がある。それを握って引っ張り出して見るが、まぁ、見えない。
(そりゃそうだ)
 とりあえずすべすべとした冷たい手触りは金属っぽい。形も鍵のアントシアニンの効果形をしている気がする。判別は諦めてとりあえずミモザはその鍵らしきものを持ってきていた巾着袋の中へと放り込んだ。
(これは長丁場になるなぁ……)
 どこまで進めばゴールなのかもわからない。しかもミモザの記憶が正しければこの塔の内部は基本一本道ではあるものの、ちょこちょこすぐ行き止まりになる分かれ道があったはずだ。
(まぁ、いい)
 なにせミモザは誰もがすぐに攻略する第1の塔におよそ7時間も居座ったという華々しい実績の持ち主である。長期戦はいろいろな意味で得意だ。
「がんばるぞー、おー」
「チー」
 小さな声でチロと一緒に気合いを入れるとミモザはまたそろりそろりと歩き出した。

 扉が開く。
「ううっ」
 眩しさにミモザはうめく。どうやら最上階にやっとたどり着いたらしい。
 その部屋にはミモザと同じように暗闇を歩いてきた人達が複数人立っていた。鍵を挿す扉の前には行列ができている。
 どうやら第一の塔はすぐに終わってしまう試練のため塔の中にいる人もまばらだったが、暗闇を進むという時間のかかる試練ゆえに渋滞が発生しているらしい。暗闇の中でも確かに見えはしないがたくさんの人間の気配を感じていた。
「さてさて」
 ミモザは手に握っていた袋を見る。小さな巾着袋はぱんぱんに膨らんでいる。
 豊作である。
(なかなかに頑張ったんじゃなかろうか)
 人が多かったためあまり一ヶ所に長居は出dha epa来なかったが、そのわりにはなかなかの数の鍵を見つけられた。
(もしかして金の鍵もあったりして)
 宝くじの当選番号を確認する気分でにまにまと笑いながらミモザは袋を開けて中を見た。
 閉じた。
 もう一度中を見た。
 銅の鍵しか入っていなかった。
「……………」
 ミモザは無言でのろのろと歩くと広い部屋の隅の方へと移動してそこに座り込んだ。
「いいんだ、わかってたから。僕なんてどーせ、どーせ」
 そのまま体育座りになり地面にのの字を書く。
「えーと、大丈夫か?」
 その時聞いたことのある声が話しかけてきた。その不愉快な声にミモザはきっ、と睨みを効かせる。
「他の誰に言われてもいいけどお前からだけはそんなセリフは言われたくないっ!!」
 声の主はアベルだった。彼は手に銀の鍵を握っている。
「わ、わりぃ」
「謝るなぁ!余計惨めになる!うわーん!!」
「あらら、ミモザ、可哀想に。だめよ、無理をしちゃ」
 そう言って歩み寄ってきたステラの手には金の鍵が握られていた。
 ミモザはさらに泣いた。
 ステラはミモザの握る袋を引っ張って中を確認する。その中身が銅の鍵しかないことを見て取ると少し笑った。その後思案するように指を口元にあてる。
「でも困ったわねぇ、銅の鍵じゃあ暗闇の中あの道を戻るのは大変だわ。そうだ、手を繋いであげる。私たちと一緒に帰ろう?」
 そう言ってにっこりと差し出された手を
「や、やだ」
 ミモザは拒絶した。
 頼むから放っておいて欲しかった。
マカ サプリゴーヤdha epaマカ と は

「省エネだな」 dha epa

「省エネだな」
 訓練の途中、レオンハルトはそうクロムつぶやいた。
「え?」
ゴーヤ チャンプルー君の戦い方のことだ」
 おそらく休憩に入るつもりなのだろう。構えていた剣を下ろし、彼は軽く汗を拭う。
「君の使う技はどれも形態変化だ。衝撃波についても俺は斬撃を形にして飛ばすのに対し、君は触れたものに衝撃波を叩き込むスタイルだろう」
 それを見てミdha epa dhaモザはその場に座り込む。正直もうへとへとで立っているのがキツかったのだ。
 そんなミモザを彼は見下ろした。
「君の攻撃はことごとく何も作り出さない」
「……はぁ」
 ディスられているのだろうか、とも一瞬思ったが、声のトーンと態度からおそらく違うのだろう。彼の瞳に映る感情は、感心だ。
「無から有を生み出すのと、すでにあるものを利用するの、どちらがよりエネルギーを消費するかなど言わdha epa dhaなくてもわかるだろう?3時間ほど打ち合っているが、君の魔力はあまりにも減っていない」
「それはレオン様も……」
 特に魔力切れを起こしている気配はない。MP量の見えないミモザではわからないが、まだまだ余裕そうに見える。そんなミモザを師匠はじっとりと睨んだ。
「俺はペース配分をしている。しかし君は何も考えず全力で打っているだろう」
「……うっ」
 図星だ。ぐうの音もでない。
「…にも関わらず、MP量を見てもいつまでもゆとりがある。君の元々の魔力量はそこまで多いわけではないにも関わらず、だ」
 当たり前のように金の祝福を授かっているレオンハルトである。
「つまり君の攻撃は使用するMP量が極端にポリ ペプチド少ない。おそらく1~2程度しか使っていないんじゃないか」
「……はぁ」
 褒められているのはなんとなくわかるが、わからない。それはそれだけ一撃に威力がないということと同義ではないだろうか。
「つまり君は人よりも長く戦える。持久戦が君の強みだ。一撃で倒す威力はないが、じわじわと相手の体力と魔力を削って疲労したところでとどめを刺せ」
 そこで悪巧みをするようにレオンハルトはにんまりと笑った。
「まぁ、君自身がへばらないように、それに耐えられるだけの体力と筋力をつけなくてはな」

「おかしい、なぜだ」
 ロランはぜいぜいと肩で息をしながらぼやいた。
 それを見て、ああ魔力と体力が尽きてきたのだな、とミモザは悟る。
「なぜ魔力が尽きない!小娘!!」
「……僕マッチョなんで、こう見えて体力が、」
「肉体の問題じゃない!魔力だ!こんdhaなに長時間戦って、常人の魔力が持つはずがっ……!!」
 うーん、とミモザはうなる。なんて言おうか考えて、結局シンプルに言った。
「僕、持久戦が得意なんです」
 というより、それ以外得意なものがない。
 ロランはこちらを睨んでいる。その足元のおぼつかなさを見て、ミモザはふふ、と笑った。
 どうやら仕込んだ毒もうまく回ってきたようだ。
 ミモザが唯一目覚めた属性攻撃、それは『毒』だった。
 しかしそれは前述した通り強力なものではない。せいぜいが身体が少しだるくなる程度のものだ。それも4~5時間で治ってしまう。
(でも充分だ)
 長期戦で相手を疲労させて戦うスタイルのミモザにとって、わずかでも弱らせやすくするその属性は決定打にはならないが相性がいい。少しでも相手の判断能力や体力を下げられれば儲けものである。
 ちなみに毒を仕込んだのは最初の一撃目。ロランの目元をかすった時である。ゲームのミモザは毒を空気中に放出していたが、その方法では明らかにMPを食うため棘から注入する方式へと訓練クロムで切り替えていた。すべてミモザの長所を活かすためである。
「これから、貴方にはへとへとに疲弊していただきます」
 ミモザは言う。
「何時間でも何日でも何週間でも何ヶ月でも、戦い続けられるように僕は修練をつんできました。貴方はここから逃げることもできず、勝つこともできない。疲れ果てたままここで戦い続け、そして…」
 ミモザの仕事はここまでだ。仕込みは上々、舞台は整えた。
 ここで敵を倒すべきはミモザではない。のちのちの事後対応を考えれば、彼を倒すのはわかりやすい皆の『英雄』であるべきだ。
「最後は、聖騎士レオンハルト様に倒されるのです」
 その時ロランの背後に人影が現れた。ロランがギョッとしたように飛び退く。
「待たせたな、ミモザ。状況は?」
 そこには英雄の姿があった。
 豊かに流れる藍色の髪に意志の強い黄金の瞳、そして堂々たる体躯の英雄の姿が。
 ミモザはうやうやしく頭を下げる。
「彼が保護研究会の一員で、被害者遺族の会の方々を殺そうと企んでいたようです」
「……そうか。どうやら俺の可愛い弟子にしてやられたようだな、ご老人」
 槍を構える老人の異様に疲れた様子を見て、レオンハルトは悪辣に笑った。
「この子クロムはなかなかいい仕事をするだろう」
「おのれ、レオンハルトオオオォォォッ!!」
 ロランの槍から稲妻が走る。レオンハルトはそれを炎で迎え撃ち、そして、
 視界が真っ白に染まった。
亜鉛 サプリゴーヤ チャンプルーゴーヤ

(どうして、わゴーヤ

(どうして、わたしが……)
 詰め所から出てステラはdha悲しげに目を伏せた。
 対応した騎士からは厳重注意を受亜鉛 サプリけて帰されたのだ。ステラがどんなにその必要性を説明しても彼は聞く耳も持たなかった。
「君ねぇ、君のしようとしたことの重大さをわかっているのかい? 違法採取は窃盗罪というれっきとした犯罪だよ。特に塔の中の薬ポリ ペプチド草は国をあげて保護している貴重なものだ。君はまだ若いし悪気があるわけじゃなさそうだし未遂だったから注意で済ましてあげてるけどね、本当にやってたら刑務所行きだよ。止めてくれた妹さんに感謝しなさい」
 あろうことか心無いことを言ったミモザの方が正しいなどと言う。彼は不満そうにするステラに呆れた顔をすると、「それとね」とスサプリメント マカテラから没収した荷物の中から巾着袋を取り出して机に置いた。
「それ……」
「これね、君、密猟もしてるよね」
「密猟だなんて……」
 言い募ろうとするステラを無視して彼は袋の口を開けて中身をひっくり返すようにして机に出した。じゃらじゃらと音を立てて大量の魔導石が机の上に広がる。
「指定された数を超えての狩猟行為は立派な密猟だよ。記録にないから今回が初犯だね? まぁ、初回はやはり厳重注意で解放することにはなってるけど記録には残るから。これから君の行為は常にマークされていると思いなさマカ サプリい」
「そんな、これには理由が……」
「理由?」
 彼は眉をひそめる。
「君の妄言は聞き飽きたよ。あのねぇ、世界は君を中心に回ってるわけじゃないの! 今はまだ若くて可愛いからそこまで痛々しさはないけどさ、もう15歳だろ? 成人してるんだからそろそろ現実見ないと! これに懲りたらもうこういうことはしないようにね! 次は牢屋に入ることになるからね!」
 ステラの言葉を遮って彼はそう言うと会話を終わらせた。ステラに書類のサインを促し、書いたのを見届けてステラのことを部屋から追い出すと「はい、じゃあ2度目はないからね! 帰っていいよ!」と言い捨ててせかせかと立ち去ってしまう。
 他にどうすることも出来ず、ステラはすごすごと出てきたところだ。dha epa dha
「ステラ……っ!」
 ひと足先に釈放されていたのだろう。アベルがステラに気づいて駆け寄ってきた。その見慣れた姿にステラはほっと息をつく。
「アベル、大丈夫だった?」
「俺はまぁ、状況を確認されただけだから」
 アベルはなぜか言いづらそうにもごもごと話した。
 確かにアベルはあの時見ているだけだった。けれど全ての会話を見て聞いていたのだ。きっとステラのことを擁護してくれたことだろう。
「あの人、全然わたしの話を聞いてくれなかったの。額面だけ見てわたしのことを悪いって決めつけて……。失礼しちゃうわ」
 そこまで言ってステラはアベルの反応を待ったが、予想に反してアベルはなんの相槌も打ってくれなかった。見ると彼は硬い表情をして押し黙っている。
「アベル?」
「ステラ、犯罪行為はダメだ」
 諭すように、説得するように丁寧にアベルは話す。
「どんな理由があっても違法な行為が咎められるのは当然のことだ。咎められることを覚悟した上で、そマカ と はれでもどうしてもそうしなければならないと言うのなら俺にはそれを止められない。けどそうじゃないなら、咎めるみんなが悪いと思ってるなら、それは間違いだ、ステラ」
「アベル……」
 ステラは目を細めた。
「やっぱり、貴方もミモザの味方なの?」
「違うって言ってるだろ!!」
 反射的に怒鳴った後で、彼はそれを悔いるように黙り込む。ややして苦しげに拳を振り上げ、けれどそれでどこかを叩くこともできずに力無く手をおろした。
「どうしてそうなるっ。俺は、俺はっ! お前のためを思って……っ。ステラ、お前はすごいよ、優秀だ。けどだからといって何をしてもいいわけじゃない。それにそろそろ気づいてくれ……っ」
「……わたしが間違ってるって言うの?」
 アベルはのろのろと力無く顔をあげた。そうして疲れ果てた様子で、けれど何かを決心したようにゆっくりと首肯した。
「そうだ」
 噛みしめるように、振り絞るような声で言う。
「お前は、間違っている」
 ステラは何も答えなかった。
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